生徒のみなさんへ(校長からのメッセージ)
4月が過ぎて5月になりました。昨年度末からすでに 2 か月間、みなさんは学校から離れていることになります。 学校再開を楽しみにしている人が多いと思いますが、 新型コロナウイルスの感染拡大についてまだ油断できない状況ですので、さらに 1 か月間臨時休校を延長することになりました。
人類は、100 年ほど前にインフルエンザウイルスによる世界的なパンデミック( 感染症の大流行、 通称スペインかぜ)の災禍を経験しています。当時は第一次世界大戦 (1914-18 年)の終結期でした。この大戦による死亡者数が 3,700 万人であるのに対し、インフルエンザウイルスによる世界の死亡者数は、4,000万~5,000 万人、一説には1 億人といわれています。これほどの人がウイルスで亡くなっているのにもかかわらず、人類は第二次世界大戦を含め戦争の災禍は後世に伝えようとしたのですが、世界的なパンデミックのことは忘れてしまっていたのです。
ですから、今回のコロナ・パンデミックについては、過去の教訓があまり活かされることもなく、また子供から大人にいたるまで、すべての人が初めての経験でもあるため、コロナ問題について考えるスタートラインは、個人によりあまり差がないと私は捉えています。
この意味から、今の段階でみなさんにことさら確信を持って示せることはありません。そこで、このところ私が感じたこと、思ったことを箇条書きになりますが、挙げてみたいと思います。
(1)医療関係者は、感染拡大の大波を受け、先の見えない中、必死の努力をしている。またそれを支援する行政関係者や団体の方も心が休まる時がないと思う。
それと同時に、スーパーマーケットやコンビニの販売担当者、宅配などの運送業者、物流を止めないように働いている人々、ゴミの回収をする清掃担当の方、 保育や福祉関連の方など、 これらのみなさんが人との接触による感染、モノの輸送や処理をする中での感染に怯えながら、働いている。私が知らないところで、もっと多くの人々が誠実に働いているのだと思う。コロナ以前に、私はこの「繋がり」を意識することがなかった 。
(2)現在、人との「交わり」は制限されているが、人との「繋がり」が制限されているわけではない。
(3)視野を広げれば、世界中の人々との関係をも含めて様々な「繋がり」が見えてくること 、そして「繋がる」ことが、コロナ問題には必要であると感じる 。
(4)また、すでに過ぎ去った「日常」はもう戻ることはなく、すべきことは新しい「日常」を創っていくことなのだと、最近やっと気づいた 。
(5)新しい「日常」創り は手探りで進めるしかない。その際毎日なすべきことを少しずつ続けることが、明日に繋がることなのだろうと思い定めた。
以上のようなことです。
みなさんは、あれもできない、これもできないことばかりだと我慢をしていると思います。そのような中で、みなさんは何をどう感じ、何を思っているのでしょう。
気持ちが落ち着かない毎日だと思いますが、それでも世の中の動きを見て聞いて、よかったら「繋がり」や 新たな「日常」を 含めて、 気になることを自分の頭で考えてください。
2020年5月1日
校長 野村 春路