ディベートのやり方・準備レポート  ジャンプ:準備レポートへ

 ディベートを楽しもう

    1.知的スポーツであるディベート <ディベートの4特徴>

 「学校は、生徒のアルバイトを自由にすべきである」でディベートをしよう。テーマは、「生徒のアルバイトについて」のような自由に意見を言うものでなく、アルバイトの自由化に対して @意見が肯定と否定に分かれるものとなる。これを論題と呼ぶ。

 討論者=ディベーターは、論題の A肯定と否定の2チームに分かれる
 各チームは、立論→反駁→要約など進行の Bルールに従ってスピーチし、自分たちの正しさをアピールする。
 最後に、どちらのチームに説得力があったかを、審判=ジャッジが判定し、C勝ち負けを決める。ディベートは知的スポーツである。

ディベートはふつうの討論や話し合いとは大きく違っている
・相反する立場の間にある意見の違いを明確にするため、試合の中で互いに自分たちが有利になる事実をあげながら、相手を徹底的に批判する。
⇒ ディベーターの立場が、自分自身の本当の考えと同じであるとは限らない。
⇒ 討論のルールは、肯定側と否定側を同等の条件にしている。

・審判は、自分がどの立場を支持するかではなく、どちらの意見に説得力があるかで判定し勝負を決める。事実=証拠や理由づけ(根拠)によって判断し、立場や価値観だけで決着をつけない。

・説得力とは、多くの証拠を示しながら、論理的にわかりやすく話すことや、相手の意見を批判してどこが誤っているかを明示することで、生まれるものである。

<ディベートの真理観>  参考:J.S.ミル『自由論』
(1) 反論できることが真理の基準
 現実の社会にはいろいろな考え方があり、どの意見が正しいか誰も決められない。その意見を支持する人が多いか少ないかも関係ない(真理は数で決まらない)。いろいろな反対意見に対して、納得できる反論が自分に可能なのか、これが唯一の基準である。ここで「納得できる」とは、論理的に筋が通っていることと、事実に基づいていることである。[合理的な反論]
 反対意見に耳を閉ざし、対話を拒否することは自己満足に陥ることである。反対意見から批判されながらも、冷静に反論できるときだけ、自分の意見は正しいと自信を持てるのである。

 (2) 一つの事実と多数の証拠、無数の意見
 議論を始めると、感情的になって怒る人がいる。反対意見の人と冷静に討論するにはどうしたらいいだろうか。それは、互いが認める事実をもとにして議論することである。
 立場に関係なく、現実にあったことは一つである。誰かが殺人をしたならば、その人はその時間に他の場所にいたことはありえない。問題は、知りたい事実の全体像(結論)がすぐに分からないことである。しかし、その結論を導く事実=証拠は多い。だから、互いに証拠を出しあって議論すべきである。しかし、多数の証拠があるので、いろいろ異なる推測や意見が出てくるのは仕方がない。

 (3) 共通の価値と重視する価値
 意見の相反する人々が反論しあっても、ケンカ別れをしないためには何が必要だろうか。考え方の共通な部分、共通に認めあえる価値を確認しあうことである。例えば、殺人を無条件に正しいと言う人はいない。「生命の尊厳」という価値があり、悪事を働いた者を罰すべきだと思うからである。これが「正義」という共通の価値である。人類の歴史の中で多くの思想(価値観)が生まれ、その正しさをテストされてきたから、多くの人々が共通の価値を持てるようになった。
 しかし、国家による殺人=死刑や戦争についてはどうか。是非の意見がいろいろ分かれている。これは、共通の価値を持ちながらも、特定の状況で「生命の尊厳」と「正義」のどちらを重視するかで意見が違うからである。このとき相手を「敵」と見なせば、互いに認めあえる共通の価値がないことになり、冷静で建設的な討論はできなくなる。仲間として議論していこう

    2.本校のディベートの進行ルール概要

@ 肯定側立論 → 否定側尋問     → 否定側立論 → 肯定側尋問
A 肯定側第1反駁 → 否定側第1反駁 → 肯定側第2反駁 → 否定側第2反駁 
B 肯定側 → 否定側の順で、相互討論(自由に意見を言い合う)
C 否定側要約 → 肯定側要約       ※最後の発言は肯定側

@立論:論題に対する主張の全体像、基本的な考えを3つの論点(意見のポイント)で示す。
 肯定側は、現状の問題点、問題解決の具体的方法(プラン)、利点=メリットを述べる。
 否定側は、現状の意義、肯定側プラン実施の困難、欠点=デメリットを述べる。
 例) アルバイト自由化のプランでは、親の承諾や職業範囲などの条件を具体的に示す。

@'尋問:立論の後に、立論ではっきりしなかったことを相手側が質問する。原則的には、「はい、いいえ」で答えさせる。返答が長い場合は質問側が制止してよい。 反論の材料を得るために立論の内容を明確にすることが目的で、意見を述べてはいけない。
 (初めの段階ではやらず、第3回目の試合から導入する。)

A反駁:(ハンバクは反論の意味):第1反駁では、相手の立論の3論点に対して、証拠や根拠を示しながら批判を加える。第2反駁では、第1反駁の批判に対して証拠や根拠を示しながら反論して、自分たちの立場を守る。批判の追加をしてもよい。

B相互討論(相互に自由に意見を言う):証拠を詳しく説明して立論を補強したり、相手の主張が成り立たない証拠をあげたり、反駁の追加などを行う。争点を変えたい場合、変える必要性を述べて別の論点に移ること。相手に質問してもいいが、尋問と違って答える義務はないので、質問に答えない理由を述べて、批判・反論を続けること。
 (これは本校独自のルール。アメリカの競技ディベートではこうしたやり方が存在しない。が、日本のディベートの歴史の中では、この種のものがくりかえし現れてきた。)

C要約:立論から相互討論の中で、どんな議論が行われたかを審判に対してまとめる。自分たちの有利な点や相手の弱点を具体的に示して、審判に確認させる。相手の反論を意識しながら、立論の内容をより深めること。新しい主張を持ち出すと減点となる。
 例えば、肯定側は「社会の動きを無視してよいのですか」「自由な時間がもっと必要ではありませんか」「授業や行事で無駄なことがありませんか」と質問する。
 否定側は「クラブ活動の時間が減りませんか」「二日間を怠ける生徒が多くなりませんか」「大学入試への対策が難しくなりませんか」と質問する。

準備レポート   すべて一括のpdf

 ディベートは生徒がチームをつくってやります。授業内で準備の時間をとることがあまりできないので、基本的に放課後に自主的に話合いをしてもらいます。これは大変なので、何度も集まらないでも個々人が自覚して家で作業をすれば、チームとして準備ができるようなシートを用意しました。

 ディベートの進行と準備 (試合当日の準備と進行など詳しいルールの説明)
 立論プリント   (各班が準備をするための仕事分担や、立論の3論点を提示するシート)
           試合当日に、肯定と否定をあわせて生徒全員に配付される。
 記録・審査用紙  (試合当日に審判生徒が書き込む、記録と審査のためのシート。)

 準備レポート/立論まとめ (各論を間に入れて、最初と最後に読んで立論全体をまとめるシート)
           立論各論(3つの論点・ポイントを、別々の担当者が原稿を書くためのシート)
           尋問   (立論を予想して、相手が困る質問を考える)
           反駁   (相手の論点を批判するか、相手の批判に対して反論するためのシート)
           要約   (立論をまとめ、自分たちの反駁を確認して、審判に訴えるためのシート)

 討論者報告書 (試合の後、チームや自分の準備や、自分の意見の変化についてまとめるシート)