現代社会ディベート学習の準備 2.09/09

2009年2月の準備 (2/23から2/26までで実施)

A)「学歴社会、是か非か

 肯定は、大学・大学院卒の高学歴・有名大学出身者が有利な学歴社会が良い。
 否定は、入社後の実力重視であるべきと主張する。  日本の実態ではなく、いかにあるべきかの論争。

 現実社会には様々な学歴の違いが存在する。学歴を気にする人もいれば気にしない人もいる。学歴を重視する会社もあれば重視しない会社もある。
 多くの人々が学歴を高めるために多額のお金と時間を投資している。学歴を高めることと社会で高い能力を発揮することとの間には、何がしかの相関関係があることは間違いないのだろう。現実には、学歴重視と実力重視とがそれぞれバランスをとって行われているのだろう。就職のとき、会社に入って仕事をするときや昇進が関わるとき、結婚など社会的評価が関係するいろいろな場面があるだろう。が、学歴がより重視される分野や場面があり、実力がより重視される分野や場面があるのだろう。

 そこで問題は、学歴重視と実力重視のどちらの方が社会をよりよくするのかを論ずることである。
 肯定側は、学歴をより重視する分野や場面をあげながらそのメリットを示すこと。
 否定側は、実力をより重視する分野や場面をあげながらそのメリットを示すこと。
 この両者の間での論争となります。
 どちらの側も具体例や具体状況を出しくてださい。こうあるべきだ、という議論ではないので気をつけること。

参考リンク  学歴社会とは何か? ― 私立中学受験は是か非か
         学歴社会だと思いますか?
         最近は学歴関係ないか。それとも学歴社会か

B)「日本は、自衛隊を積極的に国際貢献させるべきである

 憲法9条で武力行使が禁止されたため、自衛隊の国際貢献が大きく制約されてきた。
 肯定側は、この制約を弱めて、北欧やカナダのように積極的にPKO等に参加することを主張する。例えば、いま問題になっているのが、アフリカ・ソマリア沖の海賊船対策である。政府は新法を制定してまで自衛隊を派遣しようとしている。他には、アメリカが進めるアフガンの安定化への協力課題もある。肯定側は、こうした国際貢献が戦争でなくて、世界平和を積極的に造り上げることを示して、自衛隊の国際貢献を推進することを主張する。
 否定側は、戦争行為に巻き込まれないための武力行使禁止の意義を強調して、自衛隊以外の面での国際貢献を主張する。ソマリア沖の海賊船対策は海上警備という警察活動であり、自衛隊派遣が必要なのかなどの問題点を追及する。否定側は、どんな国際貢献が必要なのか、日本が行うべき貢献の具体的なあり方(国や方法)を提示しながら討論すること。

C)「日本は、強制的な地球温暖化対策をとるべきである

 強制的な温暖化対策とは、一つが環境税。環境にマイナスとなる物質に対する税をいう。環境省は2005年に炭素排出1トンに付き2400円の環境税(炭素税)の導入を提案している。
 もう一つの対策が排出量取引。キャップアンドトレード方式で、排出量削減目標に即して各企業に排出量の上限を与える(キャップ)。目標達成できない企業が目標を超過達成できる企業から排出量の権利を買い取る方式。
 
 先進国の中では、EUのように温暖化対策では積極的なグループと、オバマ大統領になって積極化した米国に比して、日本政府は、1970年代から積極的に省エネを進めてしまったこともあって、産業界が自主規制重視のために温暖化対策では積極的と見られていない。これを京都議定書の約束を実施することを目標に、より積極的な施策として環境税を課すかどうか論争したい。温暖化対策、是か非かではない。

 肯定は、環境税導入や排出量枠の設定などを主張する。自主的な努力だけでなく、積極的な温暖化対策を主張する。
 否定は、業界が展開してきた自主的努力などを中心にした温暖化対策を主張する。

参考:環境庁の環境税
(肯定側は、これにこだわらずに、新たな施策を主張してもかまわない。)

D)「戦争の早期終結のため、日本への原爆投下が必要だった」 <世界史資料集224「第二次世界大戦A」参照>

 原爆投下が倫理的に良いか悪いかや、原爆=核兵器の使用が人類社会やその歴史に与えた影響の是非、などを議論するのではありません。原爆投下が、1945年8月当時の歴史状況の中で、<他に手段がなくて仕方がなかった or 避けるべきだったし、避けることができた>か? という歴史的可能性を論じ合います。歴史の「もしも」、仮想的な政策選択を問うことです。視点はいろいろ可能です。アメリカ人はアメリカ人の視点で意見を言っていますが、少なくとも日本人の視点が中心になるのでしょう。中国などのアジアの人々の視点も大切と思われます。
 肯定側は、投下の最大目的は「戦争の早期終結」で他の方法がなかった状況だったと主張する。原爆を投下しなければ戦争の終結が遅くなって、別の大きな問題が起こっただろうという立場です。
 否定側
は、投下の最大目的が別にあったこと、あるいは他の手段で「早期終結」が可能な状況であったことを主張する。戦争は8/15に終わるのだが、アメリカが最も重視していたのは別の目的であったと主張する。または、何らかの方法で同じ時期に戦争を終えられる方法があったのだが、何かの目的のためにアメリカはその方法をとらずに原爆を投下したと主張する。いずれにしろ、アメリカは戦争終結以外に何か大きな目的を持っていたと主張することになります。

 少なくとも8月半ばまでに起きた、実際の歴史的事件を前提にして議論をしてください。原爆投下がなかった場合にどんな展開になったかを述べる場合、想像の域を超えられませんが、実際の事件を基にして推測してください。結果論にならないように注意すること。

※ドイツが5月に降伏、欧州の戦争が終結し、世界は国連を結成して戦後世界の構築に進み始めていた。
  アメリカは、当初ヤルタ会談でソ連に対日参戦を要求したが、7月に原爆の完成が見込めるようになるとソ連への参戦要求を弱める。ソ連は、アメリカの変化を感じて参戦準備を急いで、8月8日に参戦する。
 ポツダム会議の結果、日本への降伏要求文書であるポツダム宣言をあえて作成して、連合国として日本に降伏要求を突きつけたこと。しかし、日本は参戦していなかったソ連を仲介にして、より良い条件での終戦を図って、結果的に降伏要求を拒否する形になっていた。
 とりあえず、世界史資料集224「第二次世界大戦A」にある「原子爆弾投下の是非」が参考になる。


参考:原爆投下  (2002、03年2月実施) ……ガイド

    原爆の使用は正しかったのか? スミソニアン原爆論争にみる日米の戦争認識の差
    原爆投下 正当化
    原爆神話からの解放(上)−早期終戦・人命救済説の虚構性
    降伏が遅れ原爆投下とソ連参戦の悲劇招く
     8月15日の敗戦確定が持つ意味
    早期終戦の決断で国民の大量死は回避できた
    地球史探訪:冷戦下のヒロシマ   不必要だった原爆投下
    日本が降伏しなければ原爆投下に3つ目は、あったのでしょうか?

2008年2月の準備 (2/18から2/22までの週で実施)

A)「学歴社会、是か非か

   2009年の準備参照

B)「戦争の早期終結のため、日本への原爆投下が必要だった」 <世界史資料集224「第二次世界大戦A」参照>

   2009年の準備参照

C)「日本の外交は、米国よりアジアを重視すべきである

 日本は、戦後からずっと日米安保条約による日米同盟を基軸にした外交路線をとってきた。「国連中心主義」という言い方もあるが、実態は日米同盟が基軸というべきだろう。最近は、中国やインドの経済成長が著しいし、先進国サミットにも中国のオブザーバー参加がされる状況となった。北京オリンピックもある。
 他方で、中国への戦争や韓国を植民地にした過去の問題に関連した国民感情をどう処理するかが問われてくる。
 また、中国や韓国との間には、領土問題や近年の反日デモなどの問題もある。

 肯定は、アジア諸国重視への転換を主張する。具体的には、中国と韓国との外交関係を重視することになる。
  中国や韓国ともっと外交関係を深めて仲よくすべきであるし、それは可能だと主張することになる。

 否定は、先進国として価値観の近い日米同盟を中心にした形でのアジア諸国との外交を主張する。
  アジア諸国との外交の重要性を否定するのではなくて、ASEANやインドとの関係を深めることも必要なので、中国や韓国との関係はそう簡単に解決できないと考えて、基軸を日米同盟にした上での関係改善を深めるという方針である。

 反日運動や貿易・開発、領土問題などに対する具体的政策を提示し、具体的問題への姿勢の違いを示すこと。

D)「日本は、地球温暖化対策に環境税を課すべきである

 環境にマイナスとなる物質に対する税をいう。環境省は2005年に炭素排出1トンに付き2400円の環境税(炭素税)の導入を提案している。一般家庭の負担を約2,100円(年額)と予想した。
 しかし、最近はバイオエタノール普及に関連した穀物価格の上昇や、原油価格の異常な高騰など状況がかなり変化した。
 そして、地球温暖化に関する議論については、ICPPの報告で深刻さが正確に分かってきた。
 
その中で、日本政府は、やや消極的な米国の政策と産業界の自主規制重視のために、先進国の中ではEUのように温暖化対策では積極的と見られていない。これを京都議定書の約束を実施することを目標に、より積極的な施策として環境税を課すかどうか論争したい。温暖化対策、是か非かではない。

 肯定は、環境省案の環境税の導入を主張する。自主的な努力だけでなく、積極的な温暖化対策を主張する。
 否定は、業界が展開してきた自主的努力などを中心にした温暖化対策を主張する。

参考:環境庁の環境税提案
(肯定側は、これにこだわらずに、新たな施策を主張してもかまわない。)

<2007年版論題>
C)「イラク戦争は、誤った戦争だった

 2003年の攻撃までの状況説明 (不利な否定側へのヒントいっぱい!

 2003年の攻撃時点の判断として、米英軍がイラク戦争を始めたことの是非を論じる。が、結果論は困るので、今日の事態・混乱や大量破壊兵器が発見できなかったことを前提にしないこと。今日の事態が03年3月の攻撃の中に大きな原因があると述べられる場合のみ、今日の混迷状況を根拠にできる。

 肯定側は、イラクの肥大化そのものが米国の中東政策に原因があること、国連決議に厳格に従わなかったことで攻撃を正当化できないこと、新たな査察による大量破壊兵器の確認など戦争開始前にやるべきことがたくさんあったことを示す。さらに、仏独や露など多くの安保理国や国際世論が攻撃反対を表明している中で、米英が一方的に攻撃したことは国際社会の諸原則に全く反していること。また、米英軍中心の戦争開始が十分な国際的同意なしで急に始められたことが今日の混乱や困難さを招いたと主張する。
 否定側
は、湾岸戦争以降のイラクが長期にわたって国連決議を無視し続けたこと、その結果イラクが中東周辺国にとって大きな脅威となっていたことなどを示す。さらに、自国の利益を考慮した仏露独の動きによって、国連の権威が長期にわたって無視されたにもかかわらず、国連安保理が迅速に対応できない中で、米英軍中心の戦争開始がやむをえなかったこと。また、イラクの一般民衆にとって、独裁者フセインが追放されたことは解放であり、大きな意義があったことを主張する。
調べ用リンク

D)「日本は、外国人労働者を積極的に受け入れるべきである

 肯定は、現状より多い外国人労働者を受け入れる制度をつり(具体案を肯定が提示要)、少子化による労働力不足に対処することを主張、単一民族中心の社会が変わることを容認。
 否定は、現行制度で徐々に増えることをやむなしと認めるだけ。
 現実には、日本政府がフィリピンから介護の看護労働者を受け入れる方向で動いている。これは日本国内の問題を解決するのか。フィリピンの側に弊害を起こさないか。少子化による労働力不足が本当に深刻化するのだろうか。その対策は外国人労働者か。
調べ用リンク

 

ディベート学習の準備(旧年度版)

リサイクルは環境を守るか (2003年2月実施) ガイド  調べ用リンク

対テロより貧困解決を (2003年2月実施)             ガイド 
テロの話は授業プリント参照、貧困解決は途上国の現状(南北問題)と
して調べる。資料集の18〜21ページ、264-5ページを読むこと。
 

クローン人間 (2002年11月実施)        ガイド   調べ用リンク

臓器移植 (2002年2月、11月実施)         ガイド   調べ用リンク

 プチ整形 (2002年11月実施)          ガイド   調べ用リンク

 

死刑廃止  (2002年9月実施)          ガイド  調べ用リンク

安楽死  (2002年2月、9月実施)            ガイド  調べ用リンク

18才成人  (2002年9月実施)          ガイド  調べ用リンク

ODA/途上国援助  (2002年2月実施)  ガイド  調べ用リンク

2005年度版

a)「日本は、学歴社会か

 学歴は有名大学卒かどうかの意味。この意味で、現在の日本が学歴社会であると言うべきなのか、すでに変化して学歴社会でなくなったと言うべきなのか。就職のとき、会社に入って仕事をするときや昇進が関わるとき、結婚など社会的評価が関係するときなど、いろいろな現象があるでしょう。が、全体としてどう定義するのが適切なのかを、論じてください。
 肯定側は、現在の日本社会で高学歴が有利なことを主張する。
 否定側は、採用でも昇進でも本人の実力の方が重視されることを示す。
 どちらの側も具体例を出しください。こうあるべきだ、という議論ではないので気をつけること。

c)「日本は、北朝鮮への経済制裁を行うべきである

 今の日本の世論は北朝鮮が日本人を拉致し、その人たちへの救出に協力的でない(嘘までつく)ことで怒っており、経済制裁をかけることに好意的なムードである。しかし、北朝鮮が核兵器を開発することを阻止するため、米・日・韓と中・露が協力して六ヶ国協議という外交交渉の枠組みをつくっている中で、日本が独自に経済制裁を始めるべきなのか、簡単ではなかろう。その是非を議論したい。
 肯定側は、経済制裁の内容をプランで具体的に※示すこと。拉致問題を完全に解決することと、北朝鮮に核兵器開発を完全に放棄させる非核化転換のために、経済制裁をかけることは有効だと主張する。このまま六ヶ国協議を続けても成果が出ないと主張することでもある。
 否定側
は、怒りだけでは現実の外交交渉を前進させることはできないので、現状では日本独自の経済制裁が大きな効力を持つことがなく、むしろ六ヶ国協議の中断など弊害の方が多くなる危険性があると主張する。現状維持として小泉内閣の姿勢を支持してもいいが、具体例を示しながら交渉方法への小さな改善案を主張してもいい。

※経済制裁は一般的に貿易の制限・禁止を意味する。北朝鮮の場合、正式の国交関係がないけれども、国内に多くの在日朝鮮人やその団体(朝鮮総連など)が存在し、様々な交流が行われれている。そのため、貿易の禁止以外に、日本から北朝鮮への在日朝鮮人の送金を停止することや、在日朝鮮人の訪朝や交流を停止することも考えられる。その他、人道支援凍結、朝鮮総連など在日北朝鮮関連団体への課税強化などが検討されている。北朝鮮にとって、日本は中国、韓国に次いで第3位の貿易相手国である。
※小さな改善案とは、上に述べた経済制裁の全面実施を行わず、例えば人道支援凍結や、送金一部停止など小さな警告的措置にとどめること。
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