学校長  菅沢  茂 
  新入生の皆さん、ご入学おめでとう。高等学校291名、中学校183名の皆さんは、今日から芝浦工業大学柏高等学校と柏中学校の生徒になりました。これからは本校生徒としての自覚と責任をもって仲良く行動し、学校生活を通して多くの知識と経験を積み、幅広い教養を身に付けてほしいと思います。
 本校は、芝浦工業大学の歴史と伝統を踏まえ、1980年に新たな学校教育の創造をめざし柏市増尾の地に設立され、1990年からの男女共学、1999年からの中学校開設を経て、今年で高等学校は36年目、中学校は17年目を迎えました。本学校法人の創立者有元史郎は、弱冠30歳の若さで東京高等工商学校を創設し、「社会的活動の意義を体得させる特色ある教育を行ない、以って社会に貢献する」として、世の中の役に立とうとする実学志向の教育理念を掲げました。本校の建学の精神「創造性の開発と個性の発揮」の源もここにあると考えます。
 さて、国内では長期にわたり生活経済の不況が続き、一方世界では中東やクリミア半島のように各地でテロや紛争が起きるなど、政治経済ともに緊迫の度を強めています。このような状況の中で皆さんはこれから卒業までの3か年6か年の先を見通し、将来就きたい職業に関心を持ち、その後自分のやりたい学問を絞り込むよう真剣に学校生活を送ることが大切です。我々の生活は、災害や戦乱など社会が突然の危機にさらされるとたやすく変化します。例えば3.11の東北沖で発生した巨大地震と津波による被害もその一つであり、近い将来に関東が直下型地震に見舞われる可能性も報道されています。先人が営々として築き上げてきた文化、建造物はもとより政治や経済、法律や学問、科学や芸術、慣習などですら、一瞬にして崩壊することがあるかもしれません。皆さんはこのような危機を乗り越えるため、第1に未知の世界を切り拓く独創的な発想 Creativity を心掛けること、第2にコンピュータサイエンスの習得など情報通信技術 Information and communication technology を徹底して身につけること、第3に英語など世界語 International language に習熟し、世界標準の情報に基づき判断することが重要です。
 例えば北欧のフィンランドでは、これらの課題が国の教育施策に反映されており、OECDによる生徒の学習到達度調査でも常に最上位にあります。人口密度も低く自然が厳しく天然資源も乏しい環境の中でデザインやアートなど心の豊かさを重視し、小学校では詰め込みや競争がなくテストがないなど、独特の教育を展開し創造的な人間形成に努めています。小学校ではスマホやタブレットなどの端末を使ったメディア教育を熱心に行ない、大学では2016年からプログラミングを必修科目とするなど、最新の技術に対応できる力を身につけさせています。また、2010年にデザインと科学技術と経済の3つの大学が合併し誕生したアールト大学からは、世界的な起業家が輩出されているそうです。フィンランド在住のフリーライター靴家さちこさんは、次のように語ってフィンランドの教育環境の高さを指摘しています。「目先の利益ではなく、知識を身につけるのが面白いから勉強をしている感覚が目に見えて分かる。入れ墨にピアスの青年から歩行器を押すおばあさんまでが、英語を操り気軽に話しかけてくる。」
 皆さんもこれからグローバル社会がどのように変貌を遂げていくのか、本や新聞、ラジオなど各種マス・メディアからの情報を分析し、友達と討論して個性的でクリエイティブなものの考え方を養ってください。そのため、アンテナを高く掲げ世界を視野に入れた進路設計を心掛けてほしいと願っています。
 保護者の皆様、本日はお子様のご入学誠におめでとうございます。教職員一同、教育に全力を投入する所存ですので、学校との緊密な連携とご協力をお願いいたします。最後になりましたが、ご来賓、同窓会、後援会、PTA関係者の皆様には、ご多忙のところ新入生のためにお越しくださり誠に有り難うございます。今後とも本校にご支援のほどよろしくお願い申し上げます。