学校長  菅沢  茂 
 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。保護者の皆様、本日はまことにおめでとうございます。本校は、芝浦工業大学の歴史と伝統を踏まえ、新しい高等学校教育の創造をめざして昭和55年にこの柏市増尾の地に設立されました。 平成2年には男女共学とし、平成11年には中学校を開設して今日に至りました。これまで本校は、1千8百名を超える優秀な卒業生を高等学校に送り出してきましたが、今日から皆さんもその仲間に入るわけです。
 本校の建学の精神「創造性の開発と個性の発揮」は、創立当初からの一貫した校是であり、このモットーにはぐくまれた学校風土の中で、皆さんが身をもって自主独立の気概と創造的な精神を培ってきたことに、心から敬意を表するものであります。創造性の開発とは、一人一人が今もっている自分のよさを最大限に生かし、この世界に新しい文化を創り出し貢献することです。この建学の精神は、卒業後もきっと皆さんの宝物となるに違いありません。
 昨年3月には巨大地震と津波による自然災害が、福島第一原発の事故を招き、その後の計画停電や放射能汚染、経済不況など、長期にわたり暗い影を落としました。東北被災地への支援活動が国境を越えて行われ、現在も続いていますが、寒さの中で、被災地の皆様に募るご苦労が思い遣られます。本年が、一刻も早くわが国から原発事故を断ちきり、災害復興に立ち上がる年となるよう祈ってやみません。
 さて、いま世界は、深刻な水不足と水質汚染にさらされています。1960年代まで湖沼面積が世界4位であった中東のアラル海は、周辺の流域から灌漑用水が大量に取水され続け、いまや湖水がなくなる寸前の状態です。かつて湖の周辺は、気温や湿度が一定の快適な環境に保たれ、動植物が多様に存在するオアシスでした。湖が干上がって雨は降らなくなり、気温も年較差が激しく、そのため河畔周辺の森林も枯れ、風食作用で表層土もなくなって塩害が進むなど、湖が枯渇して砂漠化の一途をたどっています。20世紀における最大の環境破壊ともいわれています。
 また、世界の森林面積は陸地の約3割(4,000万km2)を占めていますが、そのうち年間73,000km2の森林が農地の開墾、材木利用のための伐採、資源開発などにより消失しているそうです。森林の減少は、水や生態系、食糧や健康等に計り知れない影響を与えています。20世紀の歴史学者アーノルド・トインビーは、科学技術によって生み出された様々な弊害を、人類は「愛と英知と創造」の営みによって克服すると明言しました。果たして今日、環境汚染が解決されているといえるでしょうか。
 国連は昨年の2011年を「国際森林年」と定め、「人々のための森林(Forests for People)」をテーマに掲げて、人類にとって森林がいかに重要であるかを示しました。1985年にも同じ「国際森林年」が設定されていましたが、同一名称の国際年が宣言されたのは今回が初めてのことです。当時は熱帯林の急激な減少が国際的な問題として認識されていましたが、四半世紀を超えても国際的な森林破壊の状況が改善されていないことを物語っています。
 人類がこれまで数万年掛けて築き上げてきた生活様式を持続発展させるためには、このかけがえのない惑星、地球を我々自身が守っていかなければなりません。皆さんが高校生になったら、自分は将来どんな分野で、どんな仕事を通して地球を支えていくのかという意識のもとに、新しい文化的価値の創造を目指し勉強してほしいと願っています。そのためには今以上にテレビやパソコン、携帯電話にかける時間を制限し、十分な睡眠時間をとり、基本となる予習、復習はもちろんのこと、家の手伝いもしっかりおこなってください。
 最後になりましたが、PTA関係者の皆様、同窓会、後援会の皆様のほか、本日ご列席いただきましたご来賓の皆様には、ご多忙のところ卒業生のためにお越しくださいまして誠にありがとうございます。今後とも本校発展のために、お力添えくださいますようお願い申し上げます。卒業生の皆さん、健康に留意して、かけがえのない人生に全力を投入してください。健闘を祈ります。