学校長  菅沢  茂 
 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。保護者の皆様、本日はまことにおめでとうございます。本校は、芝浦工業大学の歴史と伝統を踏まえ、1980年に柏市増尾の地に創立され、1990年に男女共学とし、1999年に中学校を併設して今日に至りました。これまで本校は約1万名の優れた人材を各界に送り出してきましたが、今日から皆さんもその仲間に入るわけです。
 さて、「創造性の開発と個性の発揮」は、本校創立当初からの一貫した教育目標であり、この伝統の中で皆さんが身をもって自主独立の気概と創造的な精神を培ってきたことに、心から敬意を表します。自分のよさを生かし、社会に新しい文化を創り出して貢献するというこの建学の精神を胸に秘めて、大きな理想を実現していくことが皆さんの明日からの課題です。
 卒業式はコメンスメント、始まりのときです。私からの話も最後となりますので、皆さんの旅立ちに際して、はなむけの言葉を贈りたいと思います。
 一つは、「芯の強さ」を持ってほしいということです。内なる強さを秘めて生き抜くことだといえます。例えば、「不繋の舟」という言葉がありますが、激しい波や雨風にも逆らわず、しかも端然と浮かんでいる葦の舟には芯の強さを感じます。人生は有限であり、この限られた生命をどう生きるかと考えたとき、人や物にすがる前に、まず自分なりの高い理想を掲げて独自の考えで生き抜きたいものです。現在放映中のNHK大河ドラマ「真田丸」の主人公真田幸村の生き様には、事にあたって気後れせず、人を恐れず、ものに動じることのない本当の侍の姿を見るような思いがします。大阪夏の陣で信州一国を与えるという徳川方の調略を相手にせず、家康をあと一歩のところまで追い詰めました。いまでも上田の真田神社には、全国から真田一族を慕う人々の参拝が絶えないそうです。
 もう一つは、「コモンセンス」を磨くということです。それは良識と言ってもよく、幅広い知識や教養を身に付けることによって洗練されるものです。相手を思いやる優しさをも含み持ち、社会人としての常識や市民性をぜひ身に付けてほしいと願っています。例えば、国際的なコモンセンスを持った人物として、江戸から昭和にかけて生き抜いた独立自尊の哲人、内村鑑三を紹介したいと思います。岩波文庫にもある著作の一つに『代表的日本人』が挙げられます。初版は日清戦争のさなか、1894(明治27)年に“Japan and the Japanese”というタイトルで英文により刊行されました。この中で内村は、代表的日本人として挙げた西郷隆盛や上杉鷹山ら5人の評伝を通して、質素で誠実本位の生き方など日本人の優れた徳性を海外に伝えました。
 いま軽井沢のはずれに星野リゾートがありますが、この社長はいまでも内村の著書をよく読み、かつ祖父から贈られた内村による「成功の秘訣十か条」を座右に置いていると聞きました。その冒頭には「自己に頼るべし、他人に頼るべからず。」とあり、最後に「人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。」とあります。いまを生きるわれわれはこの言葉を肝に銘じて自戒したいと思います。
 世界は今、“iot”による第4次産業革命の波が押し寄せ、工業も農業も漁業もあらゆる仕事がグローバルに融合して進化発展を遂げようとしています。皆さんが卒業後、社会が当面するこれまでにない変化を克服するため、新たな進路をきりひらき、新しい未来の文化を創造してくれることを心から祈っています。
 最後になりましたが、PTA関係者の皆様、同窓会、後援会の皆様のほか、ご列席いただきましたご来賓の皆様には、ご多忙のところ卒業生のためにお越しくださり誠にありがとうございます。今後とも本校発展のために、お力添えくださいますようお願い申し上げます。卒業生の皆さん、健康に留意してそれぞれの人生に全力を投入してください。