学校長  菅沢  茂 
 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。保護者の皆様、本日はまことにおめでとうございます。
 本校は、芝浦工業大学の歴史と伝統を踏まえ、昭和55年に柏市増尾の地に創立され、平成2年に男女共学とし、平成11年に中学校を併設して今日に至りました。これまで本校は、約9千6百名の多くの優れた人材を世に送り出してきましたが、今日から皆さんもその仲間に入るわけです。
 本校の建学の精神「創造性の開発と個性の発揮」は、創立当初からの一貫した教育目標です。皆さんが自分のよさを最大限に生かして世の中に新しい文化を創り出し、広く社会に貢献していくことを求めています。このようなモットーにはぐくまれた校風の中で、皆さんが身をもって自主独立の気概と創造的な精神を培ってきたことに、心から敬意を表するものです。
 さて我が国では、3.11の巨大地震と津波による自然災害が、福島第一原子力発電所の大事故を招き、電力不足や放射能汚染の問題など、長期にわたり暗い影を落としました。私たちが生活していく上で、安全な水と食糧とエネルギー源の確保が重要な課題となっています。特に東日本大震災後の世界では、核燃料の安全性や様々なエネルギーの経済性や合理性などが議論され、これまで化石燃料に依存してきた産業基盤の見直しが行われるようになりました。例えば太陽光や風力の発電、小水力やバイオマスの発電など地域特性に合わせた再生可能エネルギーへの転換です。
 ところが今、エネルギー問題の救世主とも言われる水素発電が脚光を浴びています。太陽光や再生可能エネルギーによる余剰電力を使って水を分解すれば水素を作ることができ、水素は酸素と反応して電気と熱を作り出した後、再び水に戻ります。これまで電力の最大の難点は貯蔵が難しい点にありましたが、水素は天然ガスと同様に液化して貯蔵し輸送することができます。CO2を排出しない究極の次世代クリーンエネルギーとも言えます。
 国連は、2012年を「すべての人のための持続可能エネルギーの国際年」International Year of Sustainable Energy for Allとし、さらに2014年から10年間この活動の拡張を宣言しましたが、この水素エネルギーにより国の違いや貧富の差にかかわらず、本当に世界の誰もが安全で低廉な電力を享受できる平和で平等な社会が到来するかもしれません。20世紀の歴史学者アーノルド・トインビーは、科学技術の弊害を人類は愛と叡智と創造の営みによって克服すると明言しました。まさにこのことではないでしょうか。
 21世紀の今日、地球規模の課題は山積する一方ですが、人類がこれまで築き上げてきた文化を維持発展させるため、次代を担う皆さんが世界と連帯し、社会に貢献して役立とうとする意志をもつことが大切です。
 最後に、皆さんの旅立ちに際してはなむけの言葉を贈りたいと思います。
 一つは、志を高く掲げるということです。志をもって理想を追求する。どのような波や風にも逆らわず端然として浮かぶ葦舟のように、みずからの高い志や信念を掲げて生き抜くということです。二つは、コモンセンスを身に付けるということです。コモンセンスは良識ともいい、職業や思想・信条、国や民族の別にかかわらず、時代を超えて人として生きていく上での常識であり、教養や思いやりということもできます。皆さんが社会の新たな危機を克服するための針路を開拓し、新しい価値を創造してくれることを心から祈っています。
 PTA関係者の皆様、同窓会、後援会の皆様ほか、本日ご列席いただきましたご来賓の皆様には、ご多忙のところ卒業生のためにお越しくださいまして誠に有り難うございます。今後とも本校発展のために、お力添えくださいますようお願い申し上げます。卒業生の皆さん、健康に留意してそれぞれの人生に全力を投入してください。健闘を祈ります。