巻 頭

 AIとの向き合い方
副校長  久保田 剛司 
 今年、人工知能(AI)が将棋に続いて囲碁でも人類最強の棋士に完勝し、ボードゲームの世界で人類がAIの軍門に下ったことは記憶に新しいところです。6月25日(日)放送のNHKスペシャルでは、既にAIが社会の様々な場面で活用されている事例が紹介されました。名古屋のタクシー会社では、カーナビの地図を500メートル四方に分割し、各グリッドごとに乗客のいる確率の高さを数値で表示するシステムを導入して、売上向上を実現しています。開発したのはNTTドコモ、携帯の位置情報とタクシー会社の持つ過去の乗降データを基に、天気や日付・曜日等の要素も組み入れて最適化を図り、AIで乗客数予測を行っています。また、シンガポールのバス会社では、AIによるドライブレコーダーの画像分析から、事故を起こすリスクの高いドライバーを見つけ出して再教育を行うシステムを運用しています。株式取引では、その8割以上が1/1000秒単位での売買を繰り返すコンピュータ取引となり、人間のトレーダーはその様子を見守るだけで、AI対AIのマネーゲームと化しています。また、犯罪歴を持つ18歳以上が人口の約1/3を占めるアメリカでは、再犯率の高さも相俟って深刻化する刑務所の収容力不足を解消するため、AIを用いて過去の裁判記録のパターン解析から再犯リスク予測を行い、仮釈放の可否判断に活用することで再犯率を10%減少させることに成功しました。ただこの事実は服役囚には知らされておらず、取材を通してそれを知ったある服役囚は、機械に自らの運命が左右されかねないことに不信感を顕わにしていました。更に韓国では、相次ぐ政治家の不祥事防止の手段として、人間のしがらみに左右されないAI政治家の実現を目指した開発が始まっています。
 AIが将棋や囲碁で急速に強くなったのがディープラーニングによることは広く知られています。将棋のポナンザというAIソフトでは、プロ棋士の過去5万局に上る棋譜を読み込んで勝ちパターンを学習し、次の一手の勝利貢献度を数値で評価することが出来ます。プロ棋士デビュー以来29連勝の新記録を樹立し一躍時の人となった藤井聡太四段も、自らの一手の研究にAIソフトを利用していることが報じられました。AIソフトの進化は読み込む教師データの量に依存するため、将棋・囲碁ともにAIが自己対戦を繰り返し、ポナンザでは700万局もの経験値を蓄積。その結果、人間が決して思いつかない一手を繰り出すようになりました。これを見た羽生善治三冠は、「見えている世界が異なる」と評しましたが、最大の問題は、なぜその一手が最善手なのかAIが説明できない点にあります。最適判断の過程がいわばブラックボックスであるため、タクシー乗客数予測や株式取引のような事象であれば、その判断過程や結論に至った理由を知ることはさほど重要ではありませんが、再犯リスク予測に基づく仮釈放判断や政策判断といった私たちの社会生活に直接関わってくる判断の根拠が示されないことは、人間として受け入れ難いところです。AIに判断過程を説明させる研究も始まっていると聞きますが、急速に進化するAIとどう向き合っていくかが今問われているのです。  

 夏休みに向けて
教頭(中学校)  佐藤 文博 
 6月の中旬に中学3年生の皆さんと一緒にグアム海外研修に参加しました。語学研修、環境学習、平和学習、歴史学習、現地学生さんとの交流、マリンスポーツと素晴らしい体験を数多くすることができました。さらに、学年が一体となる企画が複数含まれており、芝柏の仲間になれて本当に良かったと思える研修でした。このような学校行事に参加すると普段はなかなか意識していない健康の大切さについて改めて気づかされます。若くて元気な中高生の皆さんはついつい忘れがちになってしまう部分ですが、本当に何をするにも体が基本です。さて、いよいよ明日から夏休みです。今年は夏休みを過ごす上で少し体のことを意識してみてはいかがですか。あらためて去年の夏休みを思い出してください。どのような夏休みでしたか。もちろん一人一人にとって貴重な夏休みであったことでしょう。長期休みに入り自分を見つめ直す中で今年は少し自分の体と向き合う時間を作ってみるのもひとつです。親任せではなく、自分で自分の体調を管理する。健康な体作りを意識することにより自然と学習に対する意識も良い方向に向かっていくと思います。今年も更に有効に使えるようにしっかりと計画を立ててください。皆さんは普段から手帳でスケジュール管理をしています。今回もこの術をフルに活用して悔いの残らない夏休みにしてください。今年の夏休みもすばらしいものになりますように皆さんの健闘を祈ります。

 912時間の使い方
教頭(高等学校)  松原 誠司 
 本校では7月21日より8月27日までの38日間、夏期休業となっています。これを時間・分になおすと、912時間、54,720分にあたります。これが多いと感じるか少ないと感じるかは、人それぞれでしょう。
 夏休みの位置付け・意義はいろいろとありますが、私は「自分を磨く」ための期間だと思っております。
 「自分を磨く」とは、どのようなことでしょうか。
 それは自分が持っている技術・能力を高めていく、あるいは自分が不得意な部分・分野を克服するなど、自分のレベルアップをはかることです。
 夏休みの取組は学習・部活動・進路・習い事・ボランティア・趣味など多岐に及ぶと思いますし、またそれが一つのことでも、複数のことを同時に追い求めてもかまいません。
 夏休みに「自分を磨く」、その実現のためには、
 @ 目標を定め、その達成にこだわる。
 A 何度か振り返りの時間をもち、達成度や問題点を確認し、今後の活動内容を確認・修正する。
 B 規則正しい生活を心掛ける。
の各要素を意識することが肝要です。
 「自分を磨く」ことを重ねた結果、8月28日にはさらに成長した自分で皆さんは登校していることでしょう。
 そのような充実した夏を過ごすためにも、目標と夏期休業の日々の使い方を、先ずは確認してみてください。