巻頭2

 海の危機
 副校長  久保田 剛司 
 水の惑星と称される地球。宇宙飛行士がこぞってその美しさを讃える青い地球を象徴する海、また太陽系で唯一豊かな生命を育んできた海が今、危機に瀕しています。よく知られているように、海は大気中のCO2や熱を吸収・放出することで、気候を安定させるBuffer(緩衝材)の役目を担ってきました。大気の1000倍もの熱容量を持ち、これまで温暖化に伴って地球が新たに蓄えた熱の90%以上を、また人類が排出した炭素換算で5550億トンものCO2の大半を吸収したと推定されています。しかし、18世紀半ばに始まった産業革命以前約280ppmだった大気中のCO2濃度は、現在1.4倍の400ppmを超え、海の吸収能力が限界に近づきつつあると考える研究者も少なくありません。
 海がCO2を吸収する仕組みとして重要なのが、北極海や南極海が始点となり、世界中の海を約1000年もの時間をかけて巡る深層循環(熱塩循環)です。これは海氷ができる際、海水が塩分を排出しながら凍るので、海氷の下に低温で非常に塩分が濃く重い海水が形成され、深層に沈み込むことで始まります。こうして表層の海水が吸収したCO2が深層に運ばれることで、海は大気から新たにCO2を吸収できる訳です。しかし温暖化の進行に伴い、30年前は北極海全域を覆っていた海氷が昨年には40%以上消失し、南極の氷床や棚氷の融解も進んで、深層循環が弱まることが懸念されています。そうなると、ミネラルを豊富に含んだ深層流がペルー沖等で湧昇して植物プランクトンが大量に増殖し、光合成で海水に溶け込んだCO2を材料に有機物をつくることで、大気からCO2を隔離する働きも弱まることになります。更には、海水のCO2濃度の上昇に伴い海洋酸性化が進むことで、CaCO3の殻や骨格を持つ生物の生存が難しくなり、海の生態系全体に大きな影響が出る恐れがあります。私たち人類が地球に掛け続けてきた負荷は、今こんな事態を招いてしまったのです。

 あきらめない心
  教頭(高等学校)  松原 誠司 
 完全無農薬でのレモン栽培に成功した愛知県の農家の本を読みました。「奇跡のリンゴ」のレモン版ともいえます。筆者は、研究を重ね、ミカン栽培での知識も活かし、失敗が続いても、その原因を探求して改善を重ね、土・肥料を改良したり、昆虫を効果的に使ったりして、数年かけて栽培に成功しました。
 計画⇒実行⇒評価⇒改善を繰り返すPDCAサイクルを非常に綿密に継続した結果、誰もが達成していない高い目標を実現した一例といえましょう。
 目標を設定し、その達成のために計画を実行に移す、うまくいかない、ならばその原因・理由を探求して改善を試みる、この繰返しは確実に皆さんを目標に近付けることでしょう。失敗から学ぶことは数多くあります。そして、成功を勝ち取るためには、あきらめずに継続する心も不可欠なことを忘れてはいけません。

 好きな勉強を見つけよう
 教頭(中学校)  佐藤 文博 
 一度は聞いたことがあると思いますが、伸びる人の三つの条件は、素直な人、勉強好きな人、プラス思考な人と言われています。いずれも大切なことですが、学校では勉強好きな人が一人でも多く育ってくれたら良いと思います。勉強をすると世界が変わります。人は何がきっかけで勉強が好きになるかわかりません。少しでも多くのきっかけ・チャンスがあれば良いと思います。卒業生の言葉に「自分たちが主体で行った行事には達成感があった。」とありました。行事も好きな勉強を見つけるチャンスです。中学生は、前年度国立能楽堂で能を鑑賞しました。普段はなかなか観る機会のない古典芸能に触れる貴重な体験でした。学校ではこれからも生徒の心に届く、興味・関心を持ってもらえる行事を考えることはもちろんのこと、普段の授業では勉強が好きになるような創意工夫することで自ら学ぶ力を身に付けていくお手伝いをしたいと思っています。

 「理想」の学習習慣を「絶対」にしよう
 教頭補佐(高等学校)  早川 千春 
 現高2の学力平均がベネッセGTZのA2となる中、求められる学習習慣が高くなってきています。現高2は学習時間が高1の冬は増加に転じていながら、学習習慣の評価は下がっています。時間だけはようやくAランク(千葉大MARCHレベル)に来たものの、時間だけでは成績は下降するということです。「わかるまでやる」Aランク、「自分から先に進める」Sランクに移行しない限り、目標達成はありえないということがわかってきました。シート、手帳、ノート作り、暗記の仕方など、自分なりであれ、指導している延長線上で行わなければいけません。こうした情報発信を、教員、保護者、そして生徒へ続けていきたいと思います。

 新入生を迎えて
教頭補佐(中学校)  三輪 剛史 
 19年前、新しい校舎で中学1期生を迎えました。上級生がいない中、すべてが手探りでたくさんのチャレンジが日常でした。ノートパソコンでグリーンスクールの「高杖新聞」をワードで作ることから始まり、文化祭ではパワーポイントでのプレゼン、現在のWebコンもこの学年からスタートしました。今では当たり前のように全員が学んでいく課程ですが、新しい試みばかりでしたので教員側が先行する毎日でした。学校行事は盛りだくさんで、春のグリーンスクール、そして秋のグリーンスクールでは地元のマラソン大会にも参加し、春に植えた苗を秋に収穫する芋掘りも体験しました。冬にはスキースクールでも訪れましたので、年3回も高杖セミナーハウスに宿泊しました。3年生のマレーシア海外研修では現地校で熱烈大歓迎を受け、帰りのKL国際空港では涙の別れがあちこちで見られたこともなつかしく感じます。この春19期生が入学しましたが、中学校は3年間の学びを確立しつつあり、各学年の目標を元に各自が工夫しつつ集団生活を送っています。われわれも今一度初心に帰り、日々新しい学びを創造していきたいと思います。