■巻頭2■

 思いは事を成す
副校長(高校)  久保田剛司
 少し前のことになりますが、2004年6月に初の民間宇宙飛行が達成されました。当時は大したこととは思いませんでしたが、最近その詳細を知る機会があり、改めて偉業に感銘を受けた次第です。その人バート・ルターン氏は“モハベの伝説”と称される米の航空エンジニアで、理想の航空機を設計すべく今から30年前、39歳で社員20人足らずの会社を設立、その4年後には世界初の無着陸・無給油での世界一周を9日間かけて達成します。そして次に目指したのが初の民間有人宇宙飛行でした。政府の援助は一切なく、ロケットエンジンも一から手造り、操縦桿は廃材置場から車のハンドルを外してきて代用…という無いない尽くしの挑戦に、誰もが「成功する訳がない」と忠告しました。しかし、彼は決して諦めません。最大の難関は高度100kmからの大気圏再突入でした。大気との摩擦で高温に晒されるうえ姿勢制御が難しく、政府が巨額の費用を投じたスペースシャトルでさえ9年前に空中分解事故を起こしています。この難題をどう解決するか、ヒントはバドミントンのシャトルの動きにありました。シャトルは打たれた後は重い頭が必ず下になり、羽で減速します。再突入の際、機体をV字型に折り曲げることでシャトルの動きを再現し、ついにこの難題をクリアー。“思い”を持ち続けることの大切さを改めて教えられたエピソードです。

 花 鳥 風 月
副校長(中学)  野村 春路
 人は、目標がない努力をすることができない。目標を持つということは、人間を向上させるのに大切な第1歩である。さて、その目標を設定し、それに向けて努力をする際、やみくもに努力をするのはムダである。要するに目標達成に向けた計画を立てなければならない。計画を立てるポイントは、何を、いつまでに、どのくらい、実行するのかということであろう。次に計画実行の段階に入る。この段階で常に意識せざるを得ないことは、結局時間ということになる。時間は時計、もっと長い間隔の時間を知るためにカレンダーを使うことになる。手帳などでスケジュール管理しながら、目標達成に向けて、努力をする。ところが計画どおり進まないのが常であるので、思いどおりにならず、ストレスがかかる。このストレスへ対応する一つの方策は、時計やカレンダー以外に、「時間」を知りえることに気づくことである。日本では四季の訪れや去り行きがあり、その中で示される天地自然の美しさを主に「花鳥風月」を用いて表す。まさにこれらの移ろいこそが、私たちにゆったりとした時の経過を知らせ、管理された時間とは別の時間の座標軸で、自分を見つめなおす契機となるのである。身の回りの自然の変化に敏感になることが、自己の再生に役立ち、心の動きを平静に保つ力になると思う。

 子供の権利、生徒の権利
教頭(高校)  杉浦 正和 
 「子供の権利条約」に意見表明権があるが、日本では学力論議がさかんでも、生徒自身がどう思うか誰もその意見を聞こうとしない。我々の想像以上に生徒は問題を考えている。だから、教師がきちんと説明することと、生徒が言いたいことを言うことは両立し、互いに納得して学びの場をつくりあげることができるのである。
 本校は、いま進学校として一段高いレベルをめざしている。教員の間で議論を続けているが、生徒の意見表明を受けているかと考えると課題が多い。授業のレベルやあり方、生活指導についても生徒が発信し自主的に活動する場面がもっと増えていい。上級生が下級生をエチケットをたしなめる場面があってもよい。多くの進学校には、上級生が下級生を指導する仕組みがあり、自主的な活動の伝統を誇っているので、本校もそうした伝統を築き上げてほしいと思う。

 アニメ映画の情景に寄せて
教頭(中学)  三上  満 
 アニメ映画からは縁遠いはずの歳になって久しくなりますが、昨年は「コクリコ坂から」を見に行きました。自分の小学生在京時代と重なる東京五輪前年と言う時代設定とかで、「予告」に見る風景全てが懐かしかったのと、ポスターにもなった、セーラー服姿のヒロインが旗信号を揚げる姿の謎解きに惹かれたからです。その謎は父の消息にまつわるものだったのですが、より興味深かったのは、私立高校の文化部部室が入る伏魔殿のような古びた洋館をめぐる理事会側と生徒側との争いでした。建替え阻止を訴える、生徒会を中心とする生徒の熱気と創意に、自分もその末期に連なった、若者全体が学生の自治自立に燃えていた時代の記憶が甦ってきたからです。大人から見れば青臭い行動がなんと眩しかったことか。東日本の復興にも、本校の文化活動のより活性化にも、若者が自治意識に熱かった時代の息吹の復活があればと願う今日この頃です。

 今こそ学ぼう
教頭補佐  佐藤 文博 
 今年度から毎週土曜日に授業が実施されます。このため授業日が前年よりも約20日間増えることになります。このことを嬉しく感じるか、感じないかはさておき、せっかく増えた授業も消化不良になってしまっては意味がありません。授業の内容は確実に自分のものにしてほしいと思います。その為には自分自身でしっかりした学習計画を立てる必要があります。予習・授業・復習、自学自習を含めたこの芝浦柏中高での勉強が皆さんの血となり肉となり次へつながっていきます。もちろんこの勉強にはクラブ活動やクラスでの活動も含まれます。この中高の勉強が教養や知恵となり将来の大切な力になります。そしてみなさん自身が、社会全体を動かす力となるのです。そのために毎日の地道な一歩一歩を大切にしてください。このことをしっかりと意識して学びましょう。期待しています。