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  自学自習の反復と創造性の開発
学校長  菅沢  茂
 本校は芝浦工業大学の伝統を踏まえ、1980年に新たな高校教育の創造をめざして柏市増尾の地に創設されました。1990年から男女共学とし、1999年に中学校を開設し、2009年秋には母校芝柏を会場として創立30周年の記念行事を挙行するに至りました。式典では同窓生らが各種イベントを執り行ない、卒業生各期の代表が参集して恩師らを囲み和気あいあいと談笑する風景がまことに圧巻でした。芝柏の伸びやかで力強い校風を垣間見た思いがします。
 さて、このところの不景気に加え、国外では北朝鮮のロケットが国境をかすめようとし、国内では増税が陸続と押し寄せようとしています。一市民としては内憂外患の思いに駆られますが、新年度にあたって心機を一転し生徒の進路実現に向けて新たな一歩を踏み出したいと念じます。
 学校経営方針の公表 本校では公約として毎年総員で学校経営方針を作成更新し、5月のPTA総会でお配りしホームページでも公開しています。「めざす学校像」、数年先を視野に入れた「中期目標と方策」及び各年度の「教育活動の重点目標」に加え、内部外部からの評価結果も分かりやすくまとめて公表しています。教職員一丸となって目標管理を意識し、よりよい教育実践に努めています。詳しくはぜひウェブサイトでご覧ください。
 以下に、今年度の重点目標をいくつかご紹介します。
 進学実績の向上 上記の中期目標と方策の一つに、一昨年から「進学実績の向上」を掲げています。今春の高卒生はそこに示された数値目標にかなり近づき、見事な入試結果を残してくれました。授業への集中とともに、家庭での予習復習を淡々と自律的に実践した成果と考えられます。これら先輩が築いた自学自習の精神を、現在の芝柏生がぜひとも受け継いでほしいと願っています。
 記憶や学力は反復によって形成されるといいます。幕末の素読教育は師弟が経書の同一箇所を棒で指しながら、百回以上も繰り返し唱和して暗唱に至ったといわれます。しかも、漢字はデザインとして唱和は旋律としてともに右脳を刺激し、創造性や意欲をつかさどる右脳の開発につながったものと考えられます。だとすれば、授業を1回として予習復習の2回を加えても3回の学習で足りないことは自明の理であり、同一事項について回数を重ね、かつ音読し、文字のほかに絵やグラフなどを多用して学習するとよいことが分かります。
 完全週6日制の授業に移行 本校は本年度から完全週6日制の授業に移行しました。これまでも、授業と授業以外の様々な教育活動を教育課程にきめ細かく織り込み、土曜隔週6日制の中で生徒に総合的な教養力を付けるよう努めてきました。この伝統と校風を生かしながらも、今年度からの中学校新カリキュラム並びに新高1生から始まる新たな理数教育の導入に合わせ、本校の授業時間数を中高ともに増やしました。
 中学校は全学年一斉に週当たり36時間授業(モーニングレッスンを含む)となり、国の標準より3年間で735時間学習量が多くなります。今年度は、数学・英語の時間を増やしたほか、新たに「朝演習」の時間を新設しました。
 また、高等学校では新入生の年次から週当たり高1が35時間(モーニングレッスンを含まず)、高2が34時間、高3が22〜34時間となり、難関大受験に向けて十分な授業時間の確保と、受験力の向上に努めています。現高2生と高3生は入学時点のカリキュラムによる授業ですが、週当たり2コマ増える部分を自学自習の時間として学年による学習指導に活用します。
 学校設定教科・科目「SSCIII」の開始 本校は2008年度まで5年間、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、高等学校の新たな理科実験教育のプログラムを開発しました。このプログラムを生かした芝浦サイエンスクラス(SSCIII)の取り組みを、来年度から正規の教科・科目として実施し卒業単位に組み込みます。
 なおSSCIIIは、高3の時点で芝浦工業大学の学部授業を先取りする制度であり、大学生と同じように受講し期末試験を受けて合格すれば単位認定されるものです。本年度は5名が大宮キャンパスに週1日参加しています。
 公式の面談週間 本年度の重点目標の一つに、「家庭での学習時間を増やすこと」(平日2時間以上、休日4時間以上)を掲げています。このため、平素の面談とは別に公式の面談週間を年3回、短縮7時限授業の中で実施します。生徒に具体的な進路設計を立てさせ、担任との協働により学習意欲をいっそう喚起し、より自律的で計画的な自学自習を実現させます。
 施設設備の充実 昨年度から校内に環境整備委員会を置いて検討し、学校法人本部と協議を重ねた結果、以下の改修改築が実現することになりました。なお、プール可動式屋根の改修は2月に完了しています。

1. グラウンド全体の人工芝化(12月着工予定)
2. 全トイレのシャワー付き洋式化(3月着工開始)
3. 理科室のリニューアル(8月一部着工予定)
4. 理科実験室を含む新棟建設(3月基本計画完了)

 本校は1学年あたり中学校が4〜5クラス、高等学校が7〜8クラスの比較的小規模の学校であり、生徒と教師の人間関係が密接で、担任団は学年の全生徒について熟知しています。特進クラスを設けず全体の学力をきめ細かく底上げするシステムと指導力をもっています。推薦・一般入試の別にかかわらず、生徒はどの大学も自由に受験できます。PTAは、年2回の「仕事塾」で生徒のキャリア教育を支援してくれます。総合学習は開校以来独自の方式で定着し、生徒の人格や教養を高める上で大いに役立っています。
 私どもは力を合わせ、自由闊達な芝柏の学校風土をより堅固なものとし、建学の精神であるクリエイティビィティを実社会で十分に活用できる生徒を育ててまいりたいと考えます。