*ろまん燈籠とは*

WHAT IS ROMAN DOUROU?

太宰治の作品に、「愛と美について」というものがあります。太宰はこの作品を書き上げた時に作品の構造上「入江家」という家族の中の祖父と祖母の存在を割愛してしまったのです。なので、その「愛と美について」の続編ともいえるこの作品を書き、今度こそはきちんと祖父と祖母についても記した、というわけです。この作品は、そんな太宰治の間抜けな(?)一面から始まった、といえるでしょう。

さて、この「ろまん燈籠」という作品は、入江家の人々が小説を書き上げてから4年後に太宰がまとめたものなので、この作品を執筆した時には既に結婚している者、亡くなった者…様々な変化が入江家にもあったようです。そして、家庭の雰囲気自体も暗くなり、入江家に遊びに行きづらくなり、太宰自身も悲しくなっていたようです。そんな雰囲気が、この作品から感じ取れました。

入江家の人々は、この作品の中で一つの「物語」を書き上げるわけですが、その物語とは、恐ろしいお婆さんと一人娘のラプンツェル、そして二人の家に迷い込んで来る16歳の王子との掛け合いが楽しい、御伽話しです。ラプンツェルはワガママで強暴で、王子に命令ばかり下し、お婆さんは王子を食べてしまおうとしますが、王子のひたむきな態度に、ラプンツェルはやがて心を開いていきます。王子のおかげで、ラプンツェルは悪心をきれいさっぱり忘れ、そしていつの日か二人は恋に落ち、ラストは盛大なハッピーエンドで幕を閉じます。盛大なラストシーンは、長兄が書き上げました。妹や弟たちへの戒めにと、とても力を込めたようです。

「夫と妻は、その生涯に於いて、幾度も結婚をし直さなければならぬ。お互いが、相手の価値を発見していくためにも次々の危機に打ち勝って、別離せずに結婚をし直し、進まなければならぬ。」(ろまん燈籠/長兄が書いた文より)

「愛と美について」     「入江家の謎」